ぽんひろの日記

The good you do for others is good you do yourself.

著名人の自殺、やってはいけない報道

ども。ぽんひろです。

先日、三浦春馬さんが亡くなりました。おそらく自殺です。非常に悲しい。

 

自分にできることはほとんどありませんが、キュレーションサイトの編集に携わるメディア関係者の端くれとして人の自殺をメディアでどう伝えるべきなのか書こうと思います。

 

この記事の見出しは著名人の自殺としましたが、一般人の自殺も含めた伝え方の話です。メディア関係者向けの話ですが、誰でもSNSで発信や閲覧ができる時代で、自身で発信する人はもちろん、閲覧のみに使っている人にも、参考にしてもらえれば幸いです。

 

記事後半に、メディアが春馬さんの死をどう伝えたか、実際の記事を見ながら私なりに感じたことをまとめています。

 

今回私がこの文章を書くに当たって参照したのはWHOが作成している文書です。

リンク↓の文書は2万字超えと長いです。興味ある方はこのブログを読んでからの方が理解しやすいと思います。 

https://www.mhlw.go.jp/content/000526937.pdf

 

このブログは上記のWHOのガイドラインの要約と私、ぽんひろの見解を書いたものです。

また、以下の疑問を抱きこの記事を書くに至りました。

  • 一般人や著名人の自殺を報道する際、なぜ注意する必要があるのか。
  • 注意した結果どうなるのか。
  • メディア関係者ではない人が注意すべきことは何なのか。
  • 自殺の報道をすることでどのような影響があるのか。悪影響と好影響。

  

自殺報道で気を付ける点(厚労省

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000133759.html

WHOが自殺予防のメディア関係者向けのガイドラインを作成しています。その簡易版を厚労省がまとめています。こちらはすぐ読めるので是非ご一読を。

 

 

やってはいけない自殺報道の仕方

  • センセーショナルな見出しでの報道
  • 極端に簡単にした自殺理由を伝えることや推測で自殺理由を伝えること
  • 目立つ位置の報道
  • 過度に繰り返す報道
  • 自殺の手段や場所を詳細に伝える
  • 自殺を問題解決の手段の1つのように伝える
  • 現場の写真や映像を用いたりリンクを貼ったりする

 

上記の報道は模倣自殺を招く可能性があるため、伝え方は十分注意する必要があります。現に芸能人など著名な方が亡くなった月は自殺死亡率の増加が認められ、報道後3日以内に自殺関連行動の増加がピークを迎え、2週間で横ばいになるといいます

✳︎もちろん、全てがこの統計に当てはまるというわけではありません。

 

報道すべき事柄

  • 具体的な支援先
  • 苦しい境遇で自殺を企図しようとしたが、上手に対処した人の経験
  • 亡くなった人の人生、社会的な貢献(著名人の場合)

自殺を企てた人が、自殺せずに上手に対処した人の報道を見て、踏みとどまったケースがあります。そのようなケースを知ることで、自殺関連行動を減らすことができるのです。つまり報道機関が伝えるべきことは苦しんでいる人への支援の情報や同じような境遇の人が乗り越えたエピソードなのです。が、実際の報道ではあまり目にかけません。

 

メディアに関係のない人ができること

  • 自殺した人の画像や映像をリツイートなどで拡散する際に、上記のようなやってはいけない報道内容が含まれた文章ではないかをチェック
  • 自身で発信する際にも推測で自殺理由を書いたり自殺の手段を書いたりしない。画像の拡散も十分留意する。(春馬さんの場合もTwitter上には様々な憶測が飛び交っているように感じました。)
  • 体力的、精神的にしんどい時はSNSやメディアを見ない!

なぜこのようなことに注意する必要があるかというと、メディア以外の企業や組織、個人が発信するのが当たり前の時代で、一人ひとりの発信で、今本当に苦しんでいる人の自殺関連行動を増やすか減らすかを決めるからです。

大袈裟ではありません。

自殺の手段が書かれた記事をあなたが拡散することで、たまたま精神的にまいっている人が目にして自傷行為を含む自殺関連行動を取ってしまう可能性を増やすかもしれないのです。

 

あなたのリツイートやストーリーなどの投稿を見ることであなたのフォロワーは良くも悪くも影響を受けます。そして自殺報道の場合は、その理由や手段に注目が集まり、往々にして悪影響を受けるフォロワーが多いのです。

 

実際の報道

FNN(フジテレビ系列)

 

www.fnn.jp

悪い点

→「クローゼットの中で〜」と自殺した場所と手段が明確に書いてある点

他のメディアに比べると、見出しがややセンセーショナル

良い点

→「いのちの電話」の相談先が電話番号まで明記されている

 

朝日新聞

digital.asahi.com

良い点

自殺した具体的な場所、手段が書かれていない。FNNとこの点が大きく違う

三浦さんの生前の活躍を書いている点。事実を伝えるためのシンプルな見出し

 

NHK

www3.nhk.or.jp

良い点

→朝日と同じで具体的手段などが書かれていない。シンプルな見出し

悪い点

支援先などの具体的な情報がない

 

文春

bunshun.jp

悪い点

→モザイクを付けているが、三浦さんが住んでいたマンションの写真を載せている。(この写真は本当に必要なのだろうか)

FNNと同様、自殺の具体的な手段と場所が書かれている。

自殺理由はわかっていないとしながらも、他の著名人の自殺の理由にも言及し、三浦さんの理由にも関連づけている

支援先の情報がない。

 

 

全てのメディアについては書ききれません。また記事の内容や見出し以外にも、留意する点はあります。テレビの場合は自殺をトップニュースとして扱わない、繰り返し伝えない。新聞の場合は目立たないよう一面に持ってこないなどに気を配る必要があります。

私が編集に携わっているキュレーションサイトでは、自殺関連記事を長時間にわたって掲載しないなどの注意をしながらサイトを運用しています。

 

 

終わりに

WHOのガイドラインを守ることが唯一の正解だとも思いませんが、現状はこのガイドラインを参考に自殺の伝え方を模索していくべきと考えています。ご意見はコメント欄にてお伝えください。お待ちしております。

所々偉そうに書いてすみません。長文読んでくださってありがとうございました!

ぽんひろ。