ぽんひろの日記

The good you do for others is good you do yourself.

「人は見た目」

「人は見た目で判断しちゃダメ!」

 

耳にたこができるくらい言われてきた。

 

だが最初は人は見た目で他人がどんな人物かを判断する。

 

脳科学的にそうらしい。

 

そもそも自分以外の全ての人間の名前や特徴を記憶し把握できる人なんてほぼ皆無。

限られた脳のリソースをできるだけ効率的に活用するために、視覚情報でわかることから一瞬にして推察するのが人間だ。ただ、全然実態にそぐわない推測をしたりするから「人は見た目で判断しちゃダメ」と言われる。

 

例えば、

冬に、道端でスキンヘッドで筋肉ムキムキでタンクトップのうえにダウンをはおった人を見かけたとすると、意図的に考えもしないで頭の中では以下のようなやり取りを自問自答している。

「何者だ?」

「自分に害がある人間か」(不審者じゃないか、襲われない?)

「この人の目的は何か」(通学?通勤?買い物?不審者?強盗?)

などを一瞬のうちに即座に想像して、自分にとってリスクのありそうな人とは自然と距離を置いてしまうのが人間だ。そして自分に害をなす人物の場合は闘争か逃走することを選ぶ。この時普段より多めに分泌されるのがストレスホルモンのアドレナリンやコルチゾールと言われるものだ。火事場の馬鹿力と言われるのはこれらのホルモンが普段より分泌されるからだ。

これ以降は専門的な話になるのでここまでにしておく。

 

 

 外見が全く同じ人間はいないし、脳のリソース(資源)は限られてるから過去に見た似たような人を想像してこの人はこんな感じの人なのかなとあてはめてしまう。

逃走中というバラエティ番組に出てくるハンターと呼ばれる人物が一様に長身でサングラスをかけ黒いスーツを着てるのも同一の「怖くて強そう」なイメージを視聴者に持たせるためだ。茶髪や金髪でカラコンをして黒目を大きく見せるハンターは存在しない。

また、サングラスをすることでどこを見ているかわからないと見ている側はなんとなく不安を感じやすくなる。

 

だからこそ「自分は害のない人間ですよ」

と周囲に示すために、自身の身なりを整えるのが大事なのだ。これは老若男女問わず誰にでも言える。

状況にあった服装、髪型、時計、靴、アクセサリーをつけることで他の人が認知しやすくなる。大きな公園でジャージ姿にナイキの運動靴を履いている人がいたら「ランニング中?」と思ってしまう。本当は全く関係ないことをしているかもしれないのに。

 

逆に言えば、赤の他人に自分が何を目的にその場所にいるのか格好や姿だけで勘違いさせることもできる。詐欺師はこの手の手法を熟知している。だから自分が他の人からどう見えるかというのは極めて重要なのだ。

 

ゆえに、人は見た目では判断してはいけないが、どう思われるかは見た目で判断されるのが人間ということだ。

なぜなら性格や内面は目に見えないし、わからない。

先ほど例にだしたスキンヘッドのムキムキタンクトップダウン男を見て「優しい人間」と思う人は誰もいない。視覚情報でわかることから類推していくのだ。何度も言うが、脳のリソース(資源)は限られている。

どのくらいの年齢?生物的に男?女?筋肉量は?身につけているもの全てにその人の個性がでる。だから外見で人は判断される。

 

ただし、過剰な見た目至上主義は悪いルッキズムをもたらすし、見た目が大事と言うのはあくまで自分が気をつけることで、他人に強要するものではない。外見がいいから価値があるとは限らない。とんでもない美人が悪行を働いたり、イケメンがとんでもないクズだったりすることはよくある。

 

 

あれ?前回の文章では男は生物学的に着飾るとか言ってたな、自分。

今日は脳科学進化心理学的な観点からファッションや見た目を考えてみた。

こんなことを考えるのは面白い。

 

さあ筋トレしてタンクトップを着て街に出かけよう。

 

「おしゃれはダサい」

「おしゃれをすることはダサい」

好きな芸人、ラランドの西田さんがYouTubeで言っていた言葉がずっと頭に残る。

 

西田さんは服にほとんど興味がない。アメリカ中の売れないTシャツを集めて販売しているサイトで、大量にTシャツを買ったことがある西田さん。そのサイトで買った、MLBの全球団のロゴマークが載っているTシャツを大学で着ていたら留学生から「お前はどこのチームのファンなんだ、節操がない」と怒られたそうだ。

 

「おしゃれはダサい」というのは、おしゃれをするというのは服の価値を自分に足していて、服の価値なんぞなくても自分には十分に価値があるという意味で言っているようだ。着眼点が独特、さすが芸人。

 

反論はいくつも考えられそうだが、一旦置いておく。

 

そもそもなんで人は周りからオシャレだと思われたいの?

(周囲からおしゃれと思われたいと思わない人ももちろんいるが)

 

生物学的に考えると、メスよりオスの方がおしゃれに着飾るというのを何かの本で読んだ。確かクジャクも羽を広げて美しく見せるのはオスでメスはしない。

 

例外はあるかもしれないが、メスの目を引いて、気に入ってもらうために着飾るのはオスだ。

オスはどんどん自分の遺伝子をばら撒かないと血が途絶えるのは生物の宿命。

本能的にメスの気を引くことが多かれ少なかれ誰にでも備わっているらしい。

 

「おしゃれをしたい」というのは本能的な欲求からくるものなのだろう。

そもそも服が好きなど、着飾るのにはさまざまな理由はあるだろうが、生物学的には多分そういうことなんだと思う。

 

西田さんの話に戻ると

なんで「本能的にオシャレを強いられなきゃいけないんだ、俺は俺のままで受け入れてくれよ」ということなのだろう。

実際西田さんはファンの女性からモテるし彼女もいるらしいからそれで全く問題ない。好きにすりゃいい。

 

 

みなさん服はどこで買う?

知らない人も多いと思うけど、ユニクロという服屋で僕はよく買います。

自分の価値を高めるために、僕も日々「ダサい」ことをしています。

ユニクロはダサくないけどね!

silentに漂うお金のニオイ

あけおめです。

12月は31日まで、1月は2日から働いたので、1月4〜9日は休みにしたぽんひろです。

葉山の海岸

去年は全然文章を書けなかったが、それでもこのブログちょこちょこのぞいてくれる人がいるらしく、今年は些細なことでも文章にしていきたい。

 

ってことで今更silentの感想。あくまで私見で、推測も含むので気を悪くしてもご容赦を。

異論反論認めます。

 

中途失聴者が聴者とモヤモヤしながら恋を深める22年秋ドラマ。

ググればでてくるから。あらすじなど詳しいことは書かない。

 

silent、トータルでは良かった。俳優陣の演技に魅せられたし、見どころもたくさんあってすっかりハマったし、涙もろい小生はボロボロ泣いた。

などと男友達に熱く語ったら「彼女や仲良い女友達に勧められてみてるが、泣けはしない」と一蹴された。

感じ方はそれぞれだ。泣いたっていいじゃない。

 

ただドラマを見てて気になった点をいくつか書きたい。

 

☆スポンサーに媚びすぎ?

・スポンサーである日産のCMにでてくる電気自動車の名前は「サクラ」。目黒蓮演じる佐倉と同じ名前。まあこれくらいなら正直許せる。

佐倉と青羽の地元も車が必須な地方の設定だ。

大事なシーンの一つで、篠原涼子と石川恋(親子の関係)が軽い口論になるのも車内だった。

これまた、大事な会話が車内で自然とされるなと感心。気にしすぎだろうか。

ある種、都会では自動車の所有は不要とも受け取れるが、地方居住者への訴求力が欲しかったのだろうか。

広告代理店、スポンサー、ドラマ制作陣とのやりとりがどんなものだったのか、気になる。

 

・26歳前後のバイト暮らしが住むには内装もキレイで立地も良すぎ?

大和ハウスがスポンサーについている手前、みすぼらしい質素な家でのシーンはやはりできないか。にしても学生の弟とCDショップでバイトしてる姉の2人では住めないのでは?と思ってしまう瀟洒な家だった。立地もおそらく世田谷区と推測され、余計に色々考えてしまった。家という閉じられた空間で息をのむシーンが多かっただけに、silentを振り返った時にあのしゃれた部屋を思い出せる人は多いと思う。ある意味これはスポンサーや広告代理店にとっては大成功では。

まんまと思惑通りになった視聴者ぽんひろ。

 

この辺りのリアリティがもう少しあれば違和感を抱かずにスッと楽しめたかなぁと感じた。俳優陣の演技は少なくとも僕には違和感がなかった。失聴者や手話に関する知識が全くないからかもしれないが。

 

と、ビジネス視点からドラマを鬱陶しく語った。見応えはあり自分になじみのない世界を見せて想像力を鍛えてくれるいいドラマであることには変わりない。泣けるし。

 

ーーーーーーーーーー

今年はどんなドラマや映画、小説を楽しもうか。

明日から大河が始まる。脚本家が古沢良太さんなので個人的に注目してる。

一番好きなドラマのリーガルハイなどを手がけた脚本家。

楽しみだ。

 

歩け!走れ!

最近読んだスウェーデン精神科医の本を紹介。

 

多分本屋に行く習慣のある人なら一度は見かけたことのあるはずの著者、アンダースハンセンさん。

 

僕は下記の3冊を読みました。

 

Amazon.co.jp: スマホ脳(新潮新書) eBook : アンデシュ・ハンセン, 久山葉子: 本

Amazon.co.jp: 一流の頭脳 eBook : アンダース・ハンセン, 御舩 由美子: 本

最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業― (新潮新書) | アンデシュ・ハンセン, 久山 葉子 |本 | 通販 | Amazon

 

本当にざっくりと本の主張をまとめると、運動をすると記憶力、集中力、創造性が高まり、気分も良くなって、ストレスや不安への耐性が強くなるっぽいよー。と言う話。

語尾をあくまで「ぽい」としたのは研究段階だから。

 

脳、神経、ホルモンなど各部位の専門的な話も出てきますがここでは省略。

医学的な話を僕のような門外漢が語っても説得力に欠けるし。

 

エビデンスや根拠が知りたい方は自分で読んでください。

本の要約を読んだり動画で見て満足するのはおすすめしません。

要約って自分の都合いいように切り取って抽象化してますからね。

 

なので、今回気になった!と思ってくれたら自分で手に取ってみてください。

「買う金がねぇ〜」「節約したい!」と言う方は図書館で読んでください。図書館を調べるには以下のサイトがおすすめ。自身の現在地から貸出可能な図書館を教えてくれる優れたサイトです。

カーリル | 日本最大の図書館蔵書検索サイト | カーリル

 

 

で、本題。

運動って明らかにストレスじゃないですか?

走ったら息があがるし。

体を動かす=心拍数上がる。血流が良くなる。身体中に酸素やエネルギーを送る。これって明らかに心臓や身体にストレスをかけてるんですよね。

 

それがなんで体にいいんだろう。

 

そんな疑問の答えを解くヒントをくれたのが上にあげた”一流の頭脳”という本でした。

(最初はサンマーク出版か・・・と思い買うか迷ったのですがこの本は大筋問題ない本でした。出版社で本を選ぶのにも一長一短ありですね)

 

人は運動をしてもしなくても、当然ながら日々ストレスを感じます。

天候、気温、災害、仕事、人間関係、家庭、etc

でこれらは受動的なストレスですよね。

でも運動って能動的に自分にストレスをかけてるんですよ。

ここが大事で、体を動かすことで自分にストレスをかける。

運動は自分をストレスに晒す訓練。

 

ここだけ医学的な話をすると、人はストレスを感じるとコルチゾールというストレスホルモンの血中濃度が上がります。

 

それは受動・能動のストレスを問わず同じで運動も血中のコルチゾールの値を上げます。

ただ習慣的に運動している人は、日常の受動的なストレスに晒されても、コルチゾールの値が上がりにくくなります。また、ストレスで上がったコルチゾール値がピークに達した後の減少幅は運動してない人よりも大きくなる。

 

要はストレスへの耐性ができるという話。

 

 

どんな運動でもいいと筆者は言ってますが、筋トレよりも有酸素運動をおすすめしてました。

心拍数を上げることが重要なんでしょうね。

 

でもみなさん急に無理な運動しないでくださいね、ケガするから。

やりすぎも注意。

過ぎたるは及ばざるが如し〜。

 

まずはスタスタ速く歩いてみよう。

東海オンエアの魅力

特別お題「わたしの推し

 

こんなお題がはてなブログから出題されたから書いてみる。

お題の募集期限は過ぎてるんだけども。汗

 

わたしの推しは東海オンエア。

 

なぜ人気なんだろう。

なぜ見てしまうんだろう。

なぜ人を惹きつけるんだろう。

 

東海オンエアの魅力を考えた。

*あくまで私見です。

(メンバーの名前は敬称略)

 

①流行りを追わない

他のYouTuberがやらない奇抜な企画をやってるのが東海オンエア。YouTubeではその時々に多くのYouTuberがやる流行りの企画がある。だが東海オンエアは基本的に流行りの企画をメインチャンネルではやらない。流行った数ヶ月〜1年遅れくらいでサブチャンネルでやるくらい。

 

②嵐を目標にしている(ルックスじゃないよ)

メンバー一人ひとりの個性が強く、それぞれ人間として魅力がある。

それぞれの良さを短めに語る。

 

虫さんは東海ラジオでも個人チャンネルでもラジオをやっていてトーク力があり、ボケもツッコミもできる。個人的には影のリーダーと思ってる。動画の概要欄に書いた内容をまとめた書籍を出版する文才もあり、発する言葉の端々に知性を感じさせる。

 

りょうくんは撮影の計画や日程を管理したりする縁の下の力持ち。数年サラリーマンとYouTuberを兼任していただけあって時間が守れる。他のメンバーが遅刻をしても彼はほぼ遅刻をしない。痛みや恐怖をほぼ感じない/感じにくい性質を持っており生物として強い。

 

リーダーのてつやは圧倒的編集力、企画力があり、なんでもこなす超器用な人間。何よりあの時代(2013年)にYouTubeを始めて、大学を中退する決断力と動画投稿を続ける力に感服。すげぇ。

 

としみつは笑わせることと笑われることの両方ができる貴重な存在。歌・ダンス・モノマネ・ギターなどもでき芸達者。

 

しばゆーは動画でのオチ担当が多く、浮世離れした面白さがある。R-1に出場したこともあり。

 

ゆめまるは酒を飲ませたらメンバー1面白い。虫さんとラジオもやってる。

 

 

④意味不明な罰ゲーム(十字架)

東海にはわけわからん罰ゲームがある。動画の対決で負けた人・チームが罰を受ける。その罰ゲームが基本的にバグってる。例「3ヶ月ファラオの格好をして生活する」など。個人的に一番好きだったのはゆめまるがやっていた「語尾を”ごわす”」にする。

 

⑤結局は内輪ネタ

とここまで書いてきて、東海を一度も見てない人には僕の文章では全く良さが伝わらないと思う。

たまに大型企画もやってるが、基本的に彼らは身内ネタをずっとやっている。

だがのめり込んで見てしまう。

それは、もう視聴者からするともうメンバーは友達に近い存在だから。

親近感なんて言葉では表せないくらい視聴者との心の距離感が近い。

それくらい彼らはメインチャンネルでもサブチャンネル(サブチャン)でも人間性や個人情報をさらけ出している。

結果「仲良い友達がまたバカなことやってるわオモロ」と見逃せなくなる。

 

⑥サブチャンで出す人間性

東海オンエアの魅力はサブチャンにも。サブチャンで公開した動画でメインチャンネルより再生されてる動画も数え切れないくらいある。20代のリアルな恋愛事情を生々しく語っていたり普通にご飯を食べながらトークしていたり日常を切り取っている。数年前のてつやは自分の性事情をつぶさに話していた。今は有名芸能人と付き合っていて、そういう話が聞けないのが寂しい。

 

ジャンケンでその日のご飯をどこに行くかを決めるという極めてシンプルな動画が人気。

いたずらシリーズも必見だ。

 

⑦仲良い友人と仕事をする憧れ

シンプルに羨ましいし憧れる。高校の同級生たちとおもろい企画を考えて撮影して編集して公開する、これがお金を生み出す仕事なんて最高。と僕は思う。

 

 

まだまだ魅力はあるけど一旦これまで。

あぁ東海いいなぁ。今年は岡崎に行くぞーーーーー!!!

 

 

Part6 涙の面談

Part6 涙の面談

 

PM(プロジェクトマネージャー)との面談で聞きたいことは山ほどあった。

「ぽんひろ君のことは取締役に話しを通してあるし、来年度の予算も組んでるから後は君がOKを出すだけ」(詳しくはPart1参照)と一次面接前にPMに言われていたし、不採用の理由も謎のままだった。

 

裏切られた気持ちとどうしようもない虚無感でいっぱいだった。

 

不採用を決めたのは役員で、人事の最終権限を持っている。

つまりPMとの面談で自分がブチギレても結果は変わらない。

しかもPMはクライアントで、私にとってはお客さんである。

激怒なんてしたら今後の仕事がやりにくくなる。

なんならPMは自分の実力を認めて推薦してくれた人物。

 

がんじがらめだった。

 

そんなことを考えながら恐る恐るGoogle Meetの「参加」ボタンを押す。

画面にはPMともう1人別の社員が映っていた。

入社を推薦してくれて役員面接も同席していた人だ。

自分含め3人とも表情が暗いし硬い。

オンラインながら緊張感が漂う。 

 

「お疲れ様です」

挨拶を済ませた後、しばしの静寂を経てPMは口を開いた。

「俺も憤ってる。ふざけんなよと。一番腹立ってるのはぽんひろ君なんだろうけど」

「こちら(役員以外)は4月入社で話を進めていて、後はぽんひろ君に書類を渡してハンコを押してもらう段階だった」

「役員がなぜこういう決定をしたのか、我々にも教えてくれなかったし役員面接後の会議にも参加させてもらえなかった」

 

私は黙って聞いていた。

 

不採用を聞いた直後はPMに対する不信感や憤りを感じていた。

だが、PMは本当に自分を入社させたいと思っていたし、できる限りの行動をしてくれていた。

オンラインといえど誠意が伝わってきた。

 

祖母の葬儀関連の合間を縫って受けた面接やその準備に割いた時間は全て無に帰したが、この人に愚痴をぶちまけるわけにはいかなかった。

 

そんなことに考えをめぐらせて私はおもむろに口を開いた。

「結果を聞いた直後は感情を整理できませんでした」

「数日経って冷静に振り返れるようになりました」

ゆっくりと自分の思いを伝える。

「現場で私の仕事ぶりを見ているPMは入社して欲しいと推薦してくれた。一方、普段の働きぶりは何も知らないが権限だけを持っている方々が不採用を決定した。今はこう思っています」

 

PMは言葉を詰まらせながら応えた。

「役員が現場の意見を聞かないでどうすんだよ」

「ダメだ。俺が泣けてきた」

目頭を押さえるPMに私は何も言うことができなかった。

 

〜〜〜〜〜〜

「それで提案なんだけど」

PMが話し始める。

「もしぽんひろ君がまだ一緒に働いてくれるなら、現状の業務委託のまま働いてもらえませんか」

「もうこんな会社とは仕事できないと言うならもちろんそれでも構いませんので」

「当初話していた通り、社員にならなくても昇給はさせるので」

「来週の面談でお返事ください」

 

こう言われ面談は終わった。

 

〜〜〜〜〜〜

月日は流れ5月。

〜〜〜〜〜〜

結局、今もこのクライアントと一緒に仕事をしている。

「自分を必要としてくれる人」だからだ。

そんな人がいるなら全力で期待に応えたい。

一次面接で答えたポリシーに変わりはない。

なんでもそうだが辞めるのは簡単。続ける方が圧倒的に難しい。

今回の件を経てもこの仕事を続けることでクライアントにさらに信頼してもらえるだろうし。ぽんひろは簡単にはやめないぞと。

 

とはいえフリーランスを続けるデメリットもある。

昇給はしたものの、社員にはなれなかったため、個人事業主を継続する不安定さは今後も続く。それに税金や年金を自分で納める手間も。

だが「人間万事塞翁が馬」だと思っている。

5年後、10年後にはこの一連の出来事を経験して良かったと思える状況になってるかもしれない。

 

〜〜〜〜〜〜

祖母の葬儀で住職がこんなことを言っていた。

「死んだ人のためにお経を唱えているわけではない」

「お経(仏様の言葉)を聞いて今生きてる私たちがどう行動するか」

そんな言葉を聞いてこのブログを書くことにした。

祖母に思いを馳せる。クライアントとの一連のやりとりを今後の糧にする。

文章にすることでそれができた。

 

幸いにもこのブログの更新を楽しみと言ってくれる友人や知人がいる。

「最近父親を亡くした」と連絡をくれた友もいた。

しんどいことも共有すれば心が軽くなる。はず。

 

書くっていいなぁ。

 

最後まで書きあげられたのは読んでくれる皆さんがいたからです。

本当にありがとうございました。

またね!

Part5 合否通知

Part5 合否通知

 

役員面接。

いつものようにGoogle Meetを繋ぐ。

面接官は7、8人。

自分を推薦してくれたクライアントの社員もいた。

 

「はじめに自己紹介と志望動機を簡単にお願いします」 

「(是非入社して欲しいと御社の社員に頼まれて楽々入れるだろうとたかをくくっている)ぽんひろです」

(建前の面接もこれで最後。よくやってきたな自分。)

 

志望動機を答えた後は役員から様々な質問が飛んでくる。

 

「文春ってどう思う」

(ざっくりした質問だな)

 

「というと、どういった意味でしょうか」

(質問が抽象的で何を聞きたいのかわからんかった)

 

SNSとかでも影響力がすごいじゃない?そのあたりについて」

(なるほどそういうことね)

 

「確かに文春は世論を動かすほど独自の報道(調査報道)を連発していますし、新聞やテレビの影響力をはるかに上回ると思います。一方…(長くなるので以下略)」

 

(さすが役員、本当にざっくばらんに聞いてくるな。冷や汗)

 

「長期的に見てテレワーク進んでいくと思う?」

(おお、今っぽい質問。)

「進んでいくとは思います。ただテレワークの生産性は出勤時と比べて平均80%に低下するという調査もあります。出勤した方が生産性が上がる職場であるならばオフィスワークに戻ってくると思います。実際オンラインミーティングでは雑談は削られやすいですし…(以下略)」

(仕事で読んだニュースが面接に役に立った。ラッキー)

 

テレワーク生産性、平均「8割」 出勤時と比較、経験者を調査 https://news.yahoo.co.jp/articles/096ba164dcb8ac461e2852bbc94cf7e35b87a22f

 

「記者をやってて一番大変だったことは」

(色々あるぅ。警察、検察への取材、遺族取材、原稿執筆能力、やかましいデスクの対応、何話そうか)

「取材や原稿には絶対的な答えがないことですかね。例えば事件事故の遺族取材では…略」

 

「キュレーションサイトって今後なくなると思うけど、どう思う?」

「今やってる仕事の領域以外も挑戦してもらうことになるけど大丈夫?」

 

など思わぬ質問にたじろぎながらも30分ほどで役員面接を終えた。

 

〜〜〜〜〜〜

面接の結果がいつくるのかわからず数日そわそわしていた。

ただ、Part4で書いたように祖母のお通夜や雑務でバタバタしていたためその忙しさが不安をかき消してくれた。「忙」という文字通り、心を亡くしていた。

 〜〜〜〜〜〜

 

祖母の葬儀の日。

火葬が終わるのを待つ控え室でメールが来ていることに気付いた。

スマホの画面には「採用面接の結果について」という題の通知が表示されていた。

 

「来た」

 

心臓バクバク。

 

Gmailのアイコンを押す。

 

スクロール。

 

「誠に残念ながら貴殿のご希望に添いかねることになりました」

 

目を疑った。

 

「いや落とすんかい!」

「貴殿の希望に添いかねるって書いてあるけど、御社の社員の希望で面接受けたんですけど!」

 

3回も面接をしてなぜ落としたのか。

PM(プロジェクトマネージャー)が取締役に話を通してあると言っていたのはなんだったのか。

来年度の予算も組んでるって言ってたよね?

今までは業務委託でこれからは社員として働いて欲しいとの要望だったが、今後どうやって働くことになるのか。 

 

ツッコミどころ満載。

憤るぽんひろ。

 

しかし火葬場の控え室で感情をあらわにするのは祖母にもよろしくない。

冠婚葬祭でしか会えない親戚に詳細を話すわけにもいかない。

奥歯をぐっと噛んで、感情を飲み込んだ。

間もなく火葬と納骨が終わった。

 

〜〜〜〜〜〜

火葬場から移動し精進落としを親戚みんなで食べた。

いくつかの円卓に分かれそれぞれ会話していた。

自分だけ塞ぎこんで黙っているわけにもいかない。

感情の整理をする必要もあった。

 

冷静に誰かに話すことで物事を客観的に見られると思い、ほとんど話したことのなかった隣の席の親戚にこの顛末を打ち明けた。

 

何かの本で読んだが、自分の失敗談やしくじった経験を話すことであまり話したことのかった人とも打ち解けられるようになるらしい。失敗や恥ずかしい経験を晒すことで相手も心を開きやすくなる。「自己開示」というらしい。

 

親戚は真剣に聞いてくれたし、その後は親戚が打ち込んでいる茶道の話もしてくれた。

やはり失敗談は人間関係の潤滑油になるみたいだ。

 

話を聞いてもらうだけで冷静になり、精進落としも美味しく味わえた。

 

 

湯灌、通夜、葬儀、無事に済んだことで胸をなでおろした。 

 

 

翌日PMから「面接結果聞きました。面談させてください」と連絡が入った。

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次回、Part6 PMに激怒?

いよいよ最終回?

PMは何を語ったのか。

ぽんひろの決断は。

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